「日本語を母語としない子ども」と日本の学校
YSCグローバル・スクールでは小・中学生相当の年齢の子どもと、出身国で中等教育を修了して来日した若者(「既卒」と呼ばれます)等に日本語教育と教科指導を行っており、高校進学準備コースも毎年設けています。
外国ルーツの既卒の若者が「日本の高校入試について正しい情報を得て、日本語力を伸ばしながら、入試に合わせた教科学習を平日昼間に毎日できる場」が日本にはほとんどありません。2017年度はこうした既卒生、そして中学校に通いつつ週に何日か当校で昼間に学ぶ生徒と、毎日中学校に通いながら放課後に受講している生徒、すべて合わせて40名近くが高校進学に挑戦しています。
彼らの出身ルーツは中国・フィリピン・ネパールのほかアジア各国、アフリカ、南米と多岐に渡ります。当校は東京都多摩地域西部にあり、最寄駅から新宿まで1時間強。都心からかなり距離のあるこの地域でも学齢期にある外国ルーツの子ども・若者がこれだけいて、その背景もますます多様化しているのを感じます。
日本生まれ・日本育ちで親の出身国にまだ行ったことのない子もいれば、海外で育ち中3相当(またはそれ以上)の年齢になってから日本語ゼロ状態で来日し、わずか数か月で高校受験に臨む子も。後者は本人も指導する側も非常に大変なのはもちろんですが、実は前者の「日本生まれ・育ちで、日本語ですらすら話しているように見える生徒たち」もまた下記のような問題を抱えています。
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このように日本語力、学力、日本の教育制度に関する知識が大きく異なる生徒たち。個々にきめ細かな対応が必要なことも多くまだまだ手探りですが、当校ではこれまでの活動を経て「成功につながりやすい指導のコツ」がある程度掴めてきました。
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