イギリスで人種をめぐるエッセイ集が2016年読者大賞に
~クラウドファンディング(インターネットを通じた寄付)で出版された『良き移民(原題:The Good Immigrant)』が5万票超を獲得し、第1回「Books Are My Bag読者大賞」を受賞
(Sian Cain/ネット版「ガーディアン」紙 2016年11月24日)
*以下は英文記事からの抄訳です。原文はこちら。
*人名は発音が確認できたものはカタカナ、それ以外は英語での表記としました。
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イギリスにおける移住、ステレオタイプ、人種といったテーマを、全員がBAME(訳注:「黒人・アジア系・民族的マイノリティ」を総称する頭文字)である書き手たちが執筆したエッセイ集が、2016年のイギリスの読者のお気に入りの一冊として選ばれた。『ハリーポッターと呪いの子』、『ガール・オン・ザ・トレイン』を抑えての快挙だ。
ネット上とイギリス全土の書店で受け付けた投票で5万票以上を獲得し、『良き移民』は過去12ヶ月で読者から最も人気を博した本となった。編集・執筆を手がけたニケシュ・シュクラ(Nikesh Shukla 訳注:作家)はロンドンで催された「Books Are My Bag読者賞」授賞式に出席した。
シュクラはネット版「ガーディアン」紙で「シュクラはこの記事に登場できるほど有名ではない」と自分を名指ししたコメントを読み、この本の構想を思いついた。(訳注:同紙の別の記事によれば、シュクラが取材されたクリエイティブ・ライティングに関する記事への匿名のコメントだった。) シュクラは「自分たちの空間を正当化したり、自分たちの場所を獲得したことを証明したりしなければならないという、有色人種として常に感じる不安に追いかけられ続ける状態」に腹が立ったのだ。
彼はクラウドファンディング型出版社Unboundで寄付を呼びかけ、わずか3日間で目標額を達成。J.K.ローリングも5千ポンドを寄付した。(訳注:ローリングは「ハリー・ポッター」シリーズ作者。5千ポンドは約70万円。) 他にデイビット・ニコールズ、ジョナサン・コー、イーヴィー・ワイルド(訳注:いずれも作家)らが賛同している。
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