2000本もの学習動画を無料で公開することで、地方の抱える教育課題の構造的な解決を目指すNPO法人eboard(いーぼーど)。その創設者であり、代表理事の中村孝一さんと当スクールの田中宝紀が、ICTを活用した地方の教育課題解決の可能性を語り合いました。 

*本記事は2016年6月に行なわれた対談をもとに、クラウドファンディング(オンライン寄付)サイトReadyfor?「日本語がしゃべれず、ひとりぼっちの子どもにオンライン授業を!」に掲載した対談の完全版(前編)です。

 

いま地方の教育は

田中: 今日からうち(YSCグローバル・スクール)に通い始めた中学生の男の子がいるんです。新たに来日して、4月から中学校に編入したんですけど、まったく何の支援もなく放置されて、2か月経たないうちに不登校に。うちに来たときにも、すぐに泣いてしまうような…。それほど苦痛に感じていたらしいんですね。

SNSで「こういうケースがあった」とつぶやいたら、ある学校の先生から「学校として放置しているのが信じられない」というコメントを頂いたんですが、実際にはどうしても手が回らないってこともありますよね。

中村: うん、厳しいと思いますよ。

田中: すでにすごく忙しいのに、ひらがなもわからないような子どもが一人、教室の中にぽつんといる。そんな時どうしてあげられるのかっていうのは、先生にはなかなか見いだしづらいだろうなと…。

そもそも、中村さんとの出会いのきっかけは共通の知人の紹介でしたね。いちど見学に行かせてくださいってなったんですけど、タイミングが合わなくて。そしてeboardさんのコンテンツを現場で使ってみようかって検討をして…。でもうちの教室もアナログなので、子どもにネットでコンテンツを開いて「じゃあこれやって」とはならなかったんです。

そのぐらいしかまだ実は接点がないですよね。改めてお聞きすると、eboardのご活動は島根県がきっかけでしたっけ?

中村: もともとの経緯から話しますと、私は学生時代に、兵庫の西宮で学習塾や学習支援で教えていました。経済的に塾に行けない子に対して支援する現場にいたんですよ。そこで自分が子どもたちに関わる中で、いろんな課題を持ってる子に出会ったんですね。その時は、外国にルーツを持つ子は自分の気づく範囲ではいなかったんですけど。不登校で学校に行けてないから塾にだけ来てるような子もいれば、塾にたくさん来てるけど学校の授業には追いつけてない子もいたり。経済的に厳しい家庭も多くて、もう学校の勉強からはぜんぜん置いていかれちゃってる。そういう課題を抱えた子たちがたくさんいました。

そのなかで塾のようなことをやるとなったら、ボランティアになりますよね。たくさん学生を揃えて、学習支援をして勉強を見てあげると、だんだん学力はついてくる。そして行きたい進路に行けたとか、行動や姿勢が変わっていった子もいました。

そういう経験をさせてもらえたんですけど、一方でもっと大きな課題の存在も感じていました。

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