【にほんご×こどもプロジェクト(NICO PROJECT)】
今年6~7月のクラウドファンディングで皆さまにご支援いただいた、ICTを活用した日本語授業のライブ配信「にほんご×こどもプロジェクト(NICO PROJECT)」が10月から始動しました。
いま全国の公立学校には、日本語がわからない子どもが3万7千人以上。うち7千人は人手不足から指導が受けられていません。
特に、日本語指導を必要とする子どもが地域や学校に1人しかいないといった「散在地域」の現状は深刻です。
NICO PROJECTは、このような「言語難民」とも呼べる子どもたちにオンラインで日本語の授業を届ける取り組みです。当校ではこの支援モデルの確立と、散在地域の課題解決を目指してゆきます。
幸い、各地の国際交流協会や地域の支援団体、個人の方々などから多数お問合せをいただき順調な滑り出しとなりました。
12月13~15日に実施したオンラインでの公開授業にも15件のお申込みがあり、散在地域に住む生徒と福生教室がNICO WEBを通してつながりました(写真:上)。
このプロジェクトを通して日本語力の向上はもちろん、同じ境遇の仲間との出会いが孤独感を和らげ、子どもたちの心を支えてくれることを願っています。
【受験生クラス】
当校では5歳から39歳まで、年間平均でのべ100名程度の生徒が在籍します。
日本語をある程度習得すると公立の小・中学校へ通い始めたり、逆に年度途中でも学校や教育委員会等からの紹介で新しく生徒が入ってきたりと常に入れ替わりがありますが、中学3年生、または出身国で既に中学校相当を卒業した10代の生徒たちが日本の高校への進学を目指すためのクラスが通年で開講しています。
日本語がまったく初めての状態で来日し、初級日本語を終えたあと、さらなる日本語の習得と、教科ごとの受験勉強を同時進行で進めなくてはならない子。日本生まれ、あるいは幼少時から日本育ちで会話は一見ネイティブ並みでも、実は学習言語としての日本語力には大きな課題を抱えている子。言語や家庭の事情もあり、不登校状態な子・・・。
自分の出身国とは異なる教育制度に戸惑う外国人保護者に、日本の受験・進学・就職に関する正確な情報を提供すること。また、保護者と中学校の先生とのつなぎ役を務めたり、進学先の高校選びを支えたりすることも当校の大事な役割となっています。
来日直後から進学について熱心に質問し、日々まじめに勉強を重ねる生徒もいれば、12月になってもエンジンがかからない生徒もいて、個人差が大きいのが実情です。例年、これから行なう冬期講習を経て、年が明けると急に追い込みモードに入るのですが・・・。
日本社会への包摂の大事な分岐点となる高校進学。すべての生徒がこの山を乗り越えられるよう、当校の先生とスタッフ一同、祈るような想いで伴走してゆきます。
【Co-Preクラス】
2017年2月25日(土)と3月4日(土)の2日間、来年4月に小学校に入学する子どもとその外国人保護者を対象とした「Co-Pre(コプレ)クラス」を開講します。
前回は10回に渡る開催でしたが、確実にニーズはあるものの、「具体的に何を予防すればいいのか?」「どう実施すればベストか?」はまだまだ手探り。悩んだ末に、今回は保護者への多言語ガイダンス(日本の学校生活、学校とのコミュニケーション、母語教育などに関する情報提供)と、子どもたちの学校生活体験(ひらがなの読み方、学校での学習に必要な語彙など)に絞って実施することにしました。
家庭によっても違いますが、小学校に上がると外国にルーツを持つ子どもは「うちの親は違う」と感じ始めることが多く、それが精神的な不安定さにつながる傾向が見られます。幼少時から日本で育っていても、親が日本語を母語としない場合は家庭での日本語の語彙が限られ、日本語の発達が低いレベルで止まってしまいがち。うまく自己表現やコミュニケーションができないストレスを、暴れることで発散する子どもも珍しくありません。
願わくば、親子間の会話がこれからも成り立つようにという観点からも、子どもには出身ルーツの母語(中国語、タガログ語、スペイン語など)も伸ばしながら成長してほしい。でも母語保持に力を入れると日本語の習得がままならず、逆に幼少期に日本語を集中的に指導しすぎれば母語喪失につながる恐れがあり・・・。
幼少期の日本語教育は、子どもの成長という「動き続ける的(まと)」を常に追いかけなければならない難しさを抱えています。
★本クラスへのお申し込み・お問合せは当教室まで:
電話 042-552-7400
メール info@nihongo-kodomo.net
★本クラスはオンライン受講はなく対面のみ、東京都福生市での開催です。
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