2015年12月の時点で、日本国内には外国籍の若者(15才~34才)約97万人(法務省)が暮らしています。留学生やすでに会社勤めをしている方、主婦の方なども含まれている数字ではありますが、一定の割合で「外国にルーツを持つ若者」も含まれています。
「外国にルーツを持つ」という定義は明確ではないものの、例えば「外国にルーツを持つ子ども」の場合は、「保護者の両方またはどちらかが外国出身者の子ども」で、日本生まれ・日本育ちであっても、10代に入って来日しても「外国にルーツを持つ子ども」ということになります。(最近はこの定義は万全ではなくなってきつつありますが)。
私たちが「外国にルーツを持つ若者」と呼び、その課題や現状を語るときは、「外国にルーツを持つ、『元』子ども」であるというのが正確かもしれません。
保護者の両方、またはどちらかが外国出身者で、一見同じように見える20歳の若者であっても、
A)外国で高校レベルまでの教育を修了し、大学への留学を目的として自らの意志で来日した人は「留学生」
B)家庭の事情で10代で来日した後、日本で進学・就職した若者は「外国にルーツを持つ若者」
・・・と分けて考えています。
「帰国しない」子ども達
私たちが運営するYSCグローバル・スクールでは、5才から20代の子ども・若者を中心に年間平均80名以上、約20カ国にルーツを持つ生徒たちが学び、日本語・教育支援を通して公立小・中学校への転入や高校進学を支えています。
2010年度から2015年度までに支援した子ども・若者は400名を越え、13才から16才がボリュームゾーンとなっており、7割以上の生徒が「呼び寄せ」で来日しています。
★「呼び寄せ」とは・・・
親御さんが先に来日して日本国内で働き、生活基盤を整えた後や我が子の教育の節目(小学校卒業時等)などに、親族に預けていた子どもを日本に呼ぶこと
入校時に行なう保護者へのヒアリングでは、当校で支援を受ける子ども達の保護者のうち、今後、子ども単独または家族全体で「日本以外の国へ帰国・移住する予定がある」と答えたのは、全体のわずか3%に過ぎません。残り97%は「日本での長期滞在または定住予定」で日本国内に住んでいて、必要な滞在資格(ビザ)も備えていました。
つまり、私たちが支援してきた外国にルーツを持つ子どもたちのほとんどが、日本社会の中で基本的な学力を身につけた後、日本国内で人生初めてとなるキャリアをスタートさせる可能性が高いといえます。
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